【整えの記録力】柔道整復師のための実務マニュアル(2025年版)

接骨院の前で 柔道整復師

【整えの記録力】柔道整復師のための実務マニュアル(2025年版)

本記事は、柔道整復師として療養費の取扱いや施術録の整備、保険者対応に関わる実務課題を、制度的根拠と現場の知見から総合的に整理した内容です。

2023年3月以降の厚生労働省および支払基金による方針変更を踏まえ、読者の皆様が日常業務で迷わぬよう、具体例と記録テンプレートも含めてご紹介します。


第1章:急性・亜急性の負傷原因とは

療養費の対象となるのは「急性または亜急性の外傷性の負傷」です。「肩こり」や「慢性腰痛」は原則対象外とされ、外傷性であることが明示されなければなりません。

  • 急性:転倒や打撲、捻挫など、明確な外力で突発的に発生したもの
  • 亜急性:反復動作や累積負荷で生じた症状。ただし記録が不明瞭だと査定対象になりやすい

第2章:“亜急性”の危うさと保険者の視点

「亜急性」という表現は便利な反面、保険者からの照会が増加しています。曖昧な負傷原因や「なんとなく痛い」といった記載は、返戻や不支給につながります。

反復動作の具体性、自覚症状の推移、日常動作との関連を記録に残すことが必須です。

第3章:施術録の記載方法と整備ポイント

施術録には次のような項目が整っていなければ、療養費の正当性を証明することができません。

  1. 負傷部位・原因・発生日
  2. 初検日と所見(自覚・他覚)
  3. 処置内容・経過観察・方針

記録は「第三者が読んでも、整合性が取れるもの」でなければなりません。

第4章:医師の診断と異なった場合の対処法

柔道整復師の判断と医師の診断が食い違うことは珍しくありません。紹介状を発行し、紹介記録・施術録に「整形外科受診を勧めた旨」を記載することで、誤解や疑念を回避できます。

第5章:1回来ただけで来なくなった患者への記録

来院が1回であっても療養費の請求は可能です。ただし、負傷原因・施術内容・今後の方針・連絡履歴などを施術録に明記する必要があります。

第6章:長期通院患者の記録整備

継続通院に対しては、「回復の過程」「施術の工夫」「日常生活の変化」「継続理由」を明記し、毎月見直しと評価を施すことが審査通過の鍵になります。

第7章:症状がない患者への療養費対応

「予防目的」「無症状」での施術には保険適用はできません。記録には「症状訴えなし」と明記し、その日は自費で対応するのが制度上正しい対応です。

第8章:部位転がし・付け増しと誤解されるケース

別日・別部位であっても、負傷原因・初検所見・経過がそれぞれ整っていれば請求は可能です。同時期に複数部位を申請する場合は、時系列の矛盾がないように整合を保ちましょう。

第9章:有効な予診票とは

予診票は「初期の客観的証拠」です。「負傷日」「発生状況」「受傷直後の症状」と「署名」の4点を必ず抑えたフォーマットを使用し、保管を徹底することで照会時の証明資料となります。

第10章:来院簿の記録の是非と効力

来院簿は法的義務ではありませんが、通院実績の確認・疑義照会への対応に有効です。日付・患者氏名・署名・時刻を備えた簡易な記録であっても、信頼構築に貢献します。

【まとめ】記録とは、柔整師の名誉である

制度が変わっても、記録の整えは変わりません。 患者の身体を守るだけでなく、自分の信用、そして職域全体の未来を守るのが記録です。

療養費制度を支える1人として、「整える者」として、今後も共に制度と向き合い続けましょう。

  • 厚生労働省|柔道整復師の施術に係る療養費の改定等について
  • 厚生労働省|柔道整復師等の施術にかかる療養費の取扱いについて
  • 澤田 賢二(Kenji Sawada)
    柔道整復師・介護支援専門員/接骨院「整え.jp」運営
    行政指導・自己破産・再起を経験し、「壊れても、整え続ける」道を歩む。
    医療・介護のはざまで苦しむ人々の“整い”を支える活動を続けています。

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