柔道整復師と超音波画像診断装置

複数の患者の訪れ柔道整復師 柔道整復師

柔道整復師と超音波画像診断装置──過去と向き合い、未来を整える

わたしは、柔道整復師であり、かつて“制度のグレー”を甘く見た過去を持つ人間です。
行政処分を受け、破産も経験しました。
しかし今、ここに改めて「反省の上に立ち」、この資格が本来持つ力と責任について、言葉を尽くして語りたいと思います。

■ 問題提起:なぜ、柔道整復師が「超音波画像診断装置」を扱うのか?

超音波画像診断装置(エコー)を柔道整復師が活用する現場は年々増えています。
主な理由は以下の通りです。

  • 目に見えない患部(筋・腱・靭帯・骨折線)を視覚化し、施術判断の材料にするため
  • 患者説明の説得力を上げ、安心感を提供するため
  • 再発や経過を視覚的に把握しやすくするため

確かに、技術としては魅力があり、使いこなすことによって「患者の利益」に貢献できる場面もあります。
しかし、この機器は本来“診断”を目的とした医療機器です。
柔道整復師は診断権を持たない──これは、制度上も法令上も、動かせない事実です。

■ 制度・教育・資格の視点から見る「矛盾と疑義」

柔道整復師養成校において、超音波画像診断装置の使用は必修ではありません。
また、医師のような読影訓練も受けていません。
つまり、仮に装置を導入しても「解釈・判断」において大きな誤差やリスクが生まれる可能性があります。
このことは患者にとって不利益となる可能性もあるのです。

現場の一部では、診断のように扱ってしまっているケースや、
医師への紹介が遅れるリスクが指摘されています。
事実、わたし自身、過去にそうした判断ミスを起こしかけたことがあります。

■ 医師との連携と「遅延」の問題

慢性痛・原因不明の腫れ・骨折の可能性──
本来であれば、早急に整形外科などの医師に連携すべきケースであっても、
柔道整復師が“なんとなく判断”してしまえば、数日〜数週間の診断遅延が起こり得ます。

それは医療の本質に反します。
診断は医師に委ねること。
それが法律であり、倫理でもあるのです。

■ 柔道整復師が持つべき2つの利益意識

ここが重要です。柔道整復師が守るべき「利益」は、以下の2つしかありません。

  1. 制度上の遵守義務(資格を守ること)
  2. 患者・利用者の本当の利益

これ以外の“売上”や“便利さ”を最優先した瞬間、
制度と患者の双方から信頼を失っていくのです。
わたしはその信頼を、一度失いました。

■ 自らが飲んだ「業界の毒」──そして再起

なぜ、不正をしたのか。
──その答えは、制度が曖昧だからではなく、
「自分の利益」を優先してしまったから。
そこに、業界全体の風潮もあったと思います。
“みんなやってる”からいいだろう、という雰囲気です。

しかし、そんな空気に流された結果、
わたしは行政処分を受け、療養費中止相当処分も受けその後、破産しました。
人生は壊れ、信頼も崩れました。

けれど、それでも、この仕事を諦めることはできませんでした。
なぜなら、柔道整復師という資格は、本当に人の役に立てる可能性を持っているからです。

■ 超音波画像診断装置は「禁止」か?

結論からいえば、柔道整復師が「診断目的」で使用することは認められていません。
しかし、観察・判断の補助や患者説明の材料として使うことに“違法”とは言えない部分もあります。
ここが制度のグレーであり、誤解が生まれやすい点でもあります。

だからこそ──
「診断ではない」ことを徹底し、観察記録として使う。
医師への紹介を怠らない。
この基本を逸脱しない限りであれば、患者の安心に寄与する場面も確かに存在するのです。

■ わたしの提案:整えるための3ステップ

  1. 記録を見直す(診断的表現が含まれていないか確認)
  2. 導入済み機器の使い方を再教育する(倫理・制度・判断の線引きを共有)
  3. 患者の安心に繋がる説明のみに使う(診断的発言は厳禁)

■ 最後に──柔道整復師という道の“足りすぎる価値”

わたしは今、心から言いたい。
柔道整復師という資格は、信頼さえ守れば、十分に食っていけるし、感謝される。
エコーを持たなくても、言葉と手と記録で、信頼を築くことができる。

だからこそ、制度を逸脱する必要はない。
誤魔化す必要もない。
まして、診断まがいの行為でリスクを冒す必要など絶対にない。

ぼくは、そのことを自らの失敗で学びました。
そして今、もう一度この資格と社会に対して、誠実に立ち続けることを選びました。

診ることはできなくても、
相手を受け入れ、整うことを願う気持ちを持ち、
患者に寄り添うことはできる。

それが、わたしたち柔道整復師の本来の役割だと、そう信じています。

── 澤田 賢二(Kenji Sawada)

澤田 賢二(Kenji Sawada)
柔道整復師・介護支援専門員/接骨院「整え.jp」運営
行政指導・自己破産・再起を経験し、「壊れても、整え続ける」道を歩む。
医療・介護のはざまで苦しむ人々の“整い”を支える活動を続けています。

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