──「専門性じゃない、“真似”から始まるリハビリがある」
昔、僕はグループホームで機能訓練指導員として体操教室を行っていた。
歩行訓練・可動域拡大・下肢の自重トレーニング。
僕は「高齢者に良いことをやっている」と思い込んでいた。
でもある日、管理者さんに言われたんだ。
「けんじさん…利用者さん、全然わかってないよ」
その言葉が刺さった。
「なぜ伝わらないんだろう」
そう悩んでいたある日、通所してくれたおじいちゃんが、僕の動きを真似していることに気づいた。
右手を上げれば右、左手を上げれば左。
──その時、はっとした。
「説明」じゃなくて「動き」が届いてたんだ。
それから、僕は変わった。
グループホームを訪れた時には、「散歩」という歌を大きな声で歌いながら、足踏みしたり、手を上げたり、立ったり座ったり。
説明は一切しなかった。ただ、自分が一生懸命動いた。
すると、利用者さんたちが、僕を見ながら次々と“真似”を始めた。
専門用語なんかいらない。
人の前に“誠実”に立つ。その姿に、相手が「ついてくる」ことがある。
この体験は、僕の「整え哲学」において大きな原点になっている。

コメント